カイ・シャプリーとその母親の絆。自分の子供がトランスジェンダーであることを受け入れた母親の葛藤。
「子を見ること親に如かず(コヲミルコトオヤニシカズ)」ということわざがあるように、育ての親は、自分の子供の仕草や感じ方、考え方、好きなものすべてを自然と理解している。
トランスジェンダーをもつ子供の親も一緒。受け入れるか受け入れないかは別として、自分の子供が少し周りの子どもと「違う」ということに気づいてしまうものだ。
今回は、我が子をトランスジェンダーとして育てることを決意したお母さんをご紹介します。
悩んでいるご両親の方は是非参考にしてみてください。
カイ・シャプリーとその母親
今回ご紹介したいのは、7歳のカイ・シャプリー(Kai Shappley)とその母親キンバリー・シャプリー(Kimberly Shappley)。
カイと母親のキンバリーは、アメリカのテキサス州に住んでいる。
キンバリーは、キリスト教徒・共和党・テキサス出身とアメリカで保守派の3種の神器とも言えるような条件下環境で育った。
彼女のキリスト教に対する信仰心も熱く熱心にお祈りをするような信者だ。
その彼女が生んだ長男がカイ(当時はジョセフ)、現在7歳になる小学生だ。
カイは誕生したときの性別は「男性」だったが現在は「女性」としてトランスジェンダーの道を歩んでいる。
厳密には男性→女性の場合はMan to Femaleの略でMtF(エムツーエフ)、女性→男性の場合はFemale to Manの略でFtM(エフツーエム)と呼ぶ。
カイ自身、幼い頃からファッションが好きで体は男の子でも心は女性であるという自覚があったようだ。
3歳の頃からお母さんに「you know I’m a girl (私が女の子であること知っているでしょ)」と訴えかけていたそう。
トランスジェンダーの子供の行動や特徴は?
キンバリー自身も、カイが男性ではなく女性であることをカイの行動や好みから感づいていた。
トランスジェンダーの子供の特徴はいろいろあるようだが、
カイの場合は、
- 仕草がとても女性的
- 長い髪を好み切るのを嫌がる
- 女性の服を着たがる
- おもちゃなど好むものが女の子のもの
などの明らかに男の子ではない女の子の要素が日常で垣間見えていた。
カイは毎回、長くなった髪を切りに行くたびに、お母さんに「お願いだから髪を切らないで」と悲痛に近いくらい泣いていた。
少し長いTシャツを渡すとスカートを自分で作ってしまう。
無視できない「女」がカイの中にあった。
キンバリーは最初、カイはゲイなのだと思っていた。
自分の子供が、「違う」ということに恐怖を感じたキンバリーは、
どういう教育をすればゲイじゃなくなるのかをGoogleで検索し実行した。
教会ではこの問題を解決してくれるよう神に祈った。
また、カイが「私が女の子」というたびに叩いていたという。
キンバリーは非常にアンチトランスジェンダーだったと言えよう。
トランスジェンダーを受け入れることのためらい
キンバリーはキリスト教だ。
日本は、仏教徒が多いのでこの問題にはぶち当たらないだろうが、
キリスト教信者にはLGBTQ+でいることは神への冒涜であると考える人も多い。
神に与えられた性別を人間の意思で変えるのは罪深く、死後地獄に落ちるという考え方が未だ根強い。
まさか自分の子供がトランスジェンダーになると夢にも思っていなかったキンバリーは、子供がトランスジェンダーになる理由は親の教育のせいだと昔は思っていたという。
キンバリーの親族周りの人はも同じ考えの人が多いため、
カイを仮にトランスジェンダーとして受け入れられたあと暴力的で批判的な声で攻撃されることは免れないと子供の将来も案じていた。
受け入れを決心した理由
カイを男性ではなく女性で育てると決心した理由は、カイのある祈りだった。
キリスト教として育てられたカイもまた熱心な信者。
そのカイの祈りとは、「神様、どうかジョセフ(当時の名前)をあなたのもとに連れてって戻さないでください」といったもの。
カイは、この世にいたくないから神様私を引き取ってください、「死にたい」と神に祈っていたのだ。
それを知ったとき、トランスジェンダーである40%の子供は自殺をするという情報をどこかで読んだのを思い出し、子がキンバリーは我が子を死に追いやるくらいならトランスジェンダーとして育てようと決心した。
トランスジェンダーを育てている親としてメディアに露出
キンバリーは、隠すことよりも自身とカイの生活を公にしている。
youtubeやニュースに多く出演し、
トランスジェンダーを受け入れた親としてアメリカでも非常に有名だ。
なぜキンバリーが声を上げるのか恐らく理由は2つ。
①テキサス州は2017年に生まれ持った性別によりトイレを利用するユーザーを分けるという法案を制定したから。
カイが学校で困っていることは、特にトイレの使い方だ。
女性のトイレは使えないため、保健室の障害者用のトイレを開放しているのだが、施錠されており、毎回許可をへてからトイレにいかないといけない。
自由にトイレに行けなかったカイは何度かおもらしをして恥ずかしい思いをした。
テキサス州でなぜ、①のような法案が可決したかというと、
まだ男性が女性に完全になることを信じていない人が多いからだ。
仮に女性に扮した男性が女性トイレで性犯罪をしたらどうしよう。だとか、そういった不安がLGBTQ+当事者以外の頭の中で駆け巡っているのだ。
今アメリカで起こっているのは、LGBTQ+当事者に対するそうでない人々の理解の衝突。変化が起こるときは必ず衝突が発生する。
どう解決していくか、キンバリーのように事例を提供してくれる両親が増えれば、お互いに妥協点を見いだせるかもしれない。
②トランスジェンダーとして生きるには将来的に手術などコストがかかるから。
もうひとつの理由がコストだ。
幼少期からトランスジェンダーとして生きていく決断をした場合、
思春期のホルモンをどうコントロールするかが重要な選択肢になってくる。
多くの両親は、薬や手術によって何かしら抑制することを望んでいないし、費用は高額だ。
しかし、女性になりたい息子が、男性ホルモンによって意に反して毛が濃くなったなどコントロールが効かない場合は、化学施術や手術もありえる。
カイは母キンバリーの絆
カイとキンバリーはまだ道半ば、これから2人にはどんな未来が待っているのか想像できない。
そんな中、VOGUEのインタビュー動画に2人が登場。
トランスジェンダーについて話し合った。
どうぞごらんください。
「トランスジェンダーとして生きること」7歳の少女と母親の本音トーク。| VOGUE JAPAN
さいごに
カイちゃんとても素直で優しい心をもっていますよね。
性別なんて関係ないこの素敵な「地球の宝石」を守りたいと筆者は願った。
参考URL:https://www.goodhousekeeping.com/life/parenting/a22460397/kimberly-shappley-kai-shappley-update/
-
前の記事
出産後の女性にはご褒美を。プッシュプレゼント(ギフト)とは。 2019.02.11
-
次の記事
記事がありません
コメントを書く